「の事を 誰よりも愛しているよ」 私だけに笑顔を見せて そんな 歯の浮くような科白を言うんだから 嫌味に聞こえない所が 爽やかな貴方の成せる業なのね 現実、虚構、虚構、幻想 虚構 「この際言っておくが お前の事なんて興味無い、もう係わるな」 そう言って貴方は私を奈落の底へと突き落とす 冷たい瞳に一瞥されて 私は涙を浮かべながら 暗いところへ落ちていくの 現実、虚構、虚構、絶望 虚構 私は虚構の世界で生きている 希望と絶望の波は虚構の世界にも交互に訪れる 己の創りだした世界の中で 己の首を絞めるのだ 苦しい、楽しい、そして苦しい 無限に押し寄せる波に一喜一憂しながら 虚構の波に、溺れているのに 何故に死なない? 目を開くと 見覚えのある天井がそこにあった これは保健室の天井だ 人影が動いた、新野先生だろうか はたまた伊作か 「、大丈夫か?」 違う…仙蔵の声が聞こえる 「…仙蔵?」 「ああ」 「……私 どうして寝てるの」 「小平太のバレーの流れ弾を喰らったんだよ、後頭部の此処らへんに」 そう言って仙蔵が 自らの後頭部をとんとんと叩いてみせた 言われてみれば 後頭部に何かがぶつかった記憶があるような、無いような・・・・ 「さっきまで小平太も居たんだがな、委員会の用事で先程出て行った あいつも申し訳なく思っているから…」 これも虚構の世界だろうか …それならば よく出来た話だ 何が私の妄想で 何が現実なのか 私は判らなくなっている 診察してもらうべき状況かもしれないが こんな事 恥ずかしくて新野先生にだって言えやしない 「これは夢?……それとも現実?」 「、記憶の方は大丈夫か?夢じゃないぞ?」 今に始まった事ではない 頭にボールがぶつかる前から 私の頭は大混乱を起こしているのだから 目の前に居る 貴方を中心として 仙蔵が私の事を心配してくれているなんて、素敵 きっと これは夢の中、相変わらずの虚構の世界なのよ 「……虚構でも、いい」 傍に居る仙蔵の手を ふと握ってみた 握り返してくるわけでも 拒絶して振り払うわけでもない・・・彼はただ 私の眼を見ていた 虚構にしては あっさりしている 稀な展開ね 掌が温かくて 心地良い 私の創った世界は こんなにも温かかったかしら 「…私が必要なのか?」 彼の問いに 黙って頷いた 「何故だろうな、護りたくなるんだ を見ていると」 現実味を帯びていて 私の身体も熱くなっていて 現実、虚構、虚構、 現実? …まさか、 夢の中なら いっそ早く醒めてしまえばいいのに 熱くて 熱くて 此処に居たら今度こそ一生抜け出せなくなっちゃうよ 不可思議回廊 どちらなのだろう この世界は 虚構?現実?・・・どちらでもいいか、仙蔵が傍に居るなら しかし 今日は蒸し暑い天気だ こんな日は 頭から水を被って涼むのが 一番良いのよね (09.8.2 妄想しすぎると本当に現実が分からなくなってくる) |