吹っ切れたと 思っていた 自分から を遠ざけたんだ 吹っ切らないと面子が立たないというのもある しかし 私は心の奥底でずっと気にしていたんだ 彼女を 彼女は 一連の出来事を忘れていた そうは言っても 私への憎しみの感情だけは残っていたが 文次郎が自室に戻り 廊下にはと仙蔵の二人だけが ただ黙って立っていた 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「・・・私はあの時 の事を誰よりも好きだと思っていた」 沈黙を破ったのは仙蔵だった 「…だからいいって 気を遣わなくても」 「これは本当だ」 「だから別に、」 「じゃあ一体お前はどう言えば信じるんだ?」 「・・・・・・・」 何を言っても 今のではきっと信じてはくれないだろう そう考えた仙蔵は 無意識のうちにを抱きしめていた 「ちょ…っやめ……」 「結局吹っ切れなかった 今もお前に振り回される」 「……私は振り回してなんか」 「ああ、私が勝手に振り回されているだけだ」 「・・・・・・・・・・」 を解放すると 仙蔵は自室へと消えていった 一人廊下に残されたは 頭の天辺から足の先まで火照るような感覚に襲われていた 「なに動揺してるの…私は……」 「月曜日が…来てしまった」 が ぼそりと呟いた は 休日は殆ど部屋に篭っていた 今 会った所で 彼とどう接すればいいか分からないからだ だが 授業があるという事は教室に行かなければならない 教室に行くという事は 必然的に会ってしまうという事 歩く速度も 自然と遅くなる 「こういう時はとりあえず気を紛らわせよう…赤巻紙青巻紙黄巻紙…」 「、ぶつぶつ五月蝿いぞ」 「ギャッ!…って文次郎か……何で此処に居るのよ」 「何でって此処は教室だろ…居ちゃあ悪いか」 「ああ…教室だもんね……って教室…?」 「はぁ…?自分の足まで此処まで来たんだろうが」 「・・・・そうよねぇ」 は延々と考え事をしていた所為か 無意識のうちに教室へ移動していたようだ そんな浮ついている自分が 恥ずかしいような 情けないような 「…まぁ お前、意外と元気そうで安心した」 「……うん、私は全然…大丈夫だから」 が仙蔵と会うのが嫌な理由は あんな話題をした後で会うのは気まずいから、だけではない 心の中で 何かが変わっていた (昔の想いが甦った今 以前までのような気持ちで付き合える気がしないんだ…) 「扉の前で突っ立ってるな、邪魔だ」 その声に は我に返った 「た…立花……! その…」 「だから、教室に入れないから其処を退けと」 動揺しつつも 改めて向き合ってみよう・・・ そう思っていたが拍子抜けするような 今まで通りの仙蔵のクールな態度に 頭に血が昇る感覚を覚えた 「・・・・・はいはいすいませんでしたねぇ」 そんな二人を見ながら 文次郎がいつものように溜息をついた ときめきを 返せこの野郎 NEXT → (08.11.11 今日はぞろ目の日ですね) |