「お、君 いい所に居ったわい」

学園長の声…嫌な予感がした


「委員会が申請していた備品が届いたのじゃ」
「ああそうですか…私は委員会には所属しておりませんので」
「これを各委員会に持って行ってほしい」
「…よく聞こえませんでした」
「これを各委員会に持って行ってほしい」
「・・・・わかりましたよ、その代わり寮内の壁を」
「厚くするんじゃろ?分かっておる分かっておる」

絶対しないだろ、と 心の中でが毒づいた


「…届けりゃいいんですね」
「さっすが優秀な君、助かるぞ」





大きな箱が二つに小さな箱が一つ……届けるべき委員会は合わせて三つ


一番箱が軽くて有難い委員会が文次郎の所、会計委員会
新しい帳簿でも注文したのだろうか

大きな箱だがそこまで重くはない良心的な委員会は伊作の所、保健委員会
開運グッズでも注文したんだろうか

箱は大きいわ重いわで迷惑極まりない委員会は例の作法とかいう委員会
とりあえず、不気味


は ひとまず小さな箱から片付けていく事にした












「委員会中に失礼」

会計委員会のドアを開ける
相変わらず殺伐とした雰囲気だな、と は思った


「あっお久しぶりです先輩」
「久々だねぇ田村君!…委員長は?」
「トイレです」
「頻尿か?まぁいいや…これ、備品が届いたとやらで」

その軽い箱を 机の上に置く

「これ、新しい帳簿?」
「そうです」
「まぁ会計は帳簿か変な算盤の二択よねー」


「うお…どうしてが此処に居るんだ!?」

トイレ帰りの文次郎が 驚いた顔をしてを指差した


「大袈裟ねぇ…学園長に頼まれたの、注文した備品が云々って」
「あぁ それはどうも・・・・って あと二箱あるのか」
「あとは伊作の所と…闇部屋」
「闇って……作法か…カラクリに気を付けろよ」
「お気遣い感謝するわ」












「委員会中に失礼」

保健委員会のドアを開ける
不運はさておき 此処の雰囲気はもなかなか好きだ


「あれっどうしたの!?」
「伊作、驚き過ぎ」
「だって って委員会に全く縁が無い人だし」
「備品が届いたって事で…学園長に届けてくれって頼まれたのよ」
「あぁ!ありがとう」

箱を受け取ると 伊作は即座に箱を開けた


「こ…これは一体……?」
「そうだそうだ!蜥蜴の尻尾とか薬品を注文してたんだ」
「……これ…委員会というより伊作個人が欲しいだけなんじゃ…」
「いや…保健委員会で頼んでるって事になってるから…内緒ね」
「…………あんたって人は…せいぜい会計にバレないように上手くやりなよ」


部屋を出ようとしたが 伊作に呼び止められた

「何?不備でもあった?」
「あの…アレはどうなったの?その…仙蔵と」
「…あの事は忘れてください、忘れなさい、忘れろ!!」
「えぇ…?」
「この年代はねぇ“若気の至り”まみれなのよ!じゃあね」

「えっあっ……行っちゃった」












ドアノブを握った状態で は固まっていた



無駄に重い箱と共に は遂にこの部屋へとやって来た


今まで用事も無かったし入りたくもなかった 作法委員会とかいう謎の委員会

委員会というよりも 個人的に委員長と色々いざこざがあった訳だが




すぅ…と大きく息を吸い はドアを開けた



「委員会中に失礼…します」


何処か薄暗い部屋・・・これは斜堂先生の方針なのだろうか
眉間に皺を寄せながら が部屋に入る



「あっ!避けてください!」

「はぁ!?」

身体が反応する前に の頭上に何かが落ちてきた


「うわ!……い…ったたたた…なにこれ……ってギャアアア生首」
「落ち着いてください、首のフィギュアです!」
「・・・わ、分かってたわよ…」


に注意を促したのも フィギュアだと言ったのも三年生の藤内だ


「あれ、六年の先輩…どうしたんですか?立花先輩ですか?」
「いえいえいえ…お宅の委員長には全くもって用は無いのよ!備品を届けに来たの」
「注文していた首のフィギュアですかね」

こんなにも重いのは首か…と は溜息をついた


「でも 浦風君で良かったわ…委員長が出てきたらどうしようかと」
「あの…立花先輩はこの部屋に居りますが」
「・・・・え?」



ぱちり、と全ての照明が点けられた

一番奥に 仙蔵が頬杖を突いて座りながら を見ていた


まるで悪の総統のようだ……はふと思った



…生意気だな……」

「……冗談ですよ 冗談…ウフフ……では私はこれで」
「待て、にはまだ仕事があるぞ」

「…さ…作法でこの私が一体何を手伝えと…?」



は久しぶりに 冷や汗というものをかいた








HEAVEN

 or HELL







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(08.11.14 フリーダム・サホー…つづく)