「で、私に何をやれと…?」 「私達はこの通り やる事が沢山あって余裕が無いのだ」 「正直 そんなに忙しそうには見えないけど……それで?」 「綾部がまた何処かへ消えた」 「・・・・まさか私に連れて来いって!?」 「流石、話が早い…今から今後の委員会運営について話し合いを行うからな」 バンッと が目の前にあった机を叩いた 「無茶言わないでよ!相手はあの不思議系じゃない!話した事は無いけど…」 「捜して連れて来てほしい……ただ それだけなんだ…」 「そんな真剣な顔しても 私には通用しません」 「委員会の時間、暇なんだろ?無所属のお前は」 実際その通りで この時間は正直暇を持て余していた その暇な時間を勉強に回していたら 成績が面白いように上がっていった訳だが 「分かった、その代わり…私は見返りを求める女よ?」 「何が欲しい?」 「新しいコートとブーツ、あと盆栽」 「却下」 「・・・・貴方には特に何も求めてないわ、倍返しにされそうだから」 が部屋を出た後 クスクスと笑っている仙蔵に藤内が訊ねた 「親しそうでしたけど…先輩とは昔から仲が良いんですか?」 「仲良しに見えたか?」 「先輩って いつも難しい顔をしているイメージだったので…あんなに表情がころころと」 「よく喚くわ叫ぶわ、五月蝿い女だよ」 「…意外です」 廊下から微かに聞こえるの足音が聞こえてくる 立花先輩のこんな顔を見たのは初めてだ・・・ 藤内は そう思った は スコップ片手に木陰で明後日の方向を向いている喜八郎を発見した 「…綾部、くん」 喜八郎は視線だけをちらりとに向けて 不思議そうな顔を見せた 「・・・・えーと」 「です」 「そうだそうだ、さんだ」 「話し合いがどうのこうのだから委員会に来いって 委員長が」 「…それをどうしてさんが言いに来たの?」 全くその通りだ、と は思った 「もしかしてさんもアレですか?立花先輩に好かれようと自らを…」 「冗談じゃない!偶然よ偶然!あと暇だったから・・・って聞いてる?」 「飛行機雲が…」 「・・・・何でもいいけど 早く行こう、後々面倒臭いから」 何だかふわふわしている喜八郎を眺めながら が溜息をついた 「正直 貴方が羨ましいわ」 「落とし穴作りなら誰にでも簡単にできますよ?」 「いや…穴じゃなくて 私も飄々と暮らしたいって事」 「我慢我慢の生活でもしてるんですか」 「フフッ…お宅の委員長に色々悩まされているわ」 「そんなの、逃げればいいじゃないですか」 「・・・・逃げる?」 「逃げようと思えば簡単に逃げられるのに逃げないって事は 嫌じゃない証拠だよ」 は 自分には全く無かった考え方に 動揺した 現に あれから数年間も私は彼から逃げていた 同じクラスに居ても 関わろうともしなかった訳だ 今だって また距離を置こうと思えば きっと簡単に距離を置けるのかもしれない 形は何であれ 昔のように一緒に居る事が 心の奥底で私にとって喜びなのだろうか 「……そう言われれば…そうかもしれない……あぁぁぁ…」 「さんって面白いですね もっと女王様キャラなのかと思ってましたよ」 「…よく言われる」 「立花、綾部くん連れて来たわよ」 「おはようございまーす」 たとえ先輩の前であろうとも自分のリズムを崩さない喜八郎に は一度弟子入りしたいと思った 「は見返りを求める女だったな」 「ん?…あれは軽い冗談っちゃあ冗談だし少し本気っちゃあ本気…」 「……まぁいいや、後で」 「………?」 嫌よ嫌よも 好きの…… NEXT → (08.11.17 羨ましき自由人) |