事務員の人達と一緒に 学園内を掃除するのが日課になっている 事務のおねえさまって呼んで欲しい気分になる ・・・おばちゃんじゃなくて おねえさま、だからね その時 何の委員会か分からないが倉庫の入口に 何かが落ちている事に気づいた とりあえず 徐々に近寄ってみる 「ん〜アレ…何だろう」 何か もっさりしているような・・・髪の毛の絡まったボール? 違う・・・ これは・・・ く び だ 「……ヒギャアアアッ!!」 「何事だ!?…あれ、さんか」 薄暗い倉庫の中から仙蔵さんが顔を出した 「あっ仙蔵さぁん…これ…生首…生首が地面に……おえっ」 「これは作法委員会が使ってるやつだよ、要は作り物って事」 「……なぁんだ…あー嫌な汗かいた」 首のフィギュアなんて 一体・・・ 「これは何に使うんでしょう」 「主に首実験だな」 そういえば そんな時代だったな…なんて改めて思う 「でも 作法委員会って何だか悪趣味ですね〜委員長って変な人でしょ、アハハッ」 「…委員長は私だが」 「………アハッ…アハハッそうでしたか!……発言を訂正し お詫び申し上げます」 私なら こんな首のフィギュアを使う委員会には入りたくはないがな……夢の中で魘されそう 「この倉庫ってもしかしてこういった首のフィギュアが…」 「沢山保管してあるよ」 「うげぇ……」 「入ってみなよ」 「仙蔵さん…私の反応を楽しんでるでしょ…」 女 心 「あれ以上フィギュア見てたら 本当に夢に出てきちゃうよね…」 笑顔で首を抱えている仙蔵さんと別れ 池の近くをふらふらと歩いていた その時 池の畔に何か丸い物が落ちている事に気づいた 一瞬 また首のフィギュアかと怯むが 人間の首とはかけ離れている様相だ 近寄って 触ってみる これは…アヒルの頭部のフィギュアか何かなのか…? 「何をやっている」 「…はいっすみませ…ん!?」 振り向くと 大工道具を抱えた男性が立っていた 「そのアヒルさんボートを直すから、退いてくれ」 「ボートの一部か、これ…なんか間抜けな顔してるなぁ」 「……そういや君…誰?たまに学園内で見るけど」 「私は現在此処に居候させて戴いている でございます」 軽く頭を下げると 彼も頭を下げた 「俺は六年は組の食満…」 「あっ!君が!」 「え…!?」 「あぁすいません…ちょっと聞いた事のある名前だったもので」 委員会絡みの話をしていた時 文次郎が食満はどうたら〜なんて文句を言っていたから覚えていた なんだ、普通の人じゃないの …寧ろ男前だな 「…そういえばさんって異国人…なんだっけ?」 「あぁ違うよ 単なる噂!浮世離れしてるとはよく言われるけど」 「それ、褒め言葉じゃないがな…」 金槌を片手に アヒルの手術をし始めた食満君 それを ただただ横から眺める私 こういう 男らしい事をしている人に弱いのよね、なんて考えながら 「……あー…私邪魔ですかね?そろそろ行きますかな…」 「邪魔じゃないが …でも見てて楽しい?ただ直してるだけだけど」 「こういうの見てるの…好きなんだ」 「…変わってるな」 「そうかなぁ?」 なんて 女心を掴む事に長けた人なのだろう・・・ いや 私がこういう人が好みなのか何なのか・・・ 「・・・あの状況は何だ、仙蔵」 「食満にうっとりしてるさんだろ、文次郎」 「何故俺達はこんな草陰からあの二人をこっそり観察しなきゃいかんのだ」 「気になるだろ、ただそれだけだ」 「おっおい俺は別にあいつが誰と話そうとも…まぁ相手が食満なのは癪だが」 「……解り易い奴」 Next→ (08.7.14 閑話みたいな) |