学園内をいつものように掃除していた時だ 私にとって 驚くべき光景を目の当たりにした 「文次郎が 同世代のおなごと会話している・・・!」 交流は少ないとて 学園内にはくの一教室の女の子達も居るわけだ 別に不思議ではない …筈なんだけど ちょっと意外 そもそも 一応女子である私と話してるのだ ・・・なんだろう 私は自分が彼にとって特別だとでも思っていたのか 確かに私は特殊な人物だ しかし それとこれとは別 私が女として見られる事に 特殊も何も関係無い だって私は此処に居る、此処で今 生きているから ああ なんて心の狭い女なのか 嫉妬ってやつ?…認めたくないけど 私は此処の時代の人間ではない 本当は居てはいけない存在なんだ 此処に私の姿が無い・・・それが此処でのデフォルト、なんだよね 「……なぁんてね、今更なに弱気になってんのよ 自分」 決 意 「…何してんだ?」 「………拗ねてるの」 「はぁ…?」 が木陰で寝っ転がっている この光景は既に何度も見ている光景だ ・・・余程 暇なんだな 「文次郎って女の子と普通に話出来るんだね」 「…お前は俺を何だと思ってるんだ」 「さぁ…」 「さぁって……だいたいお前だって女だろうが」 「……んー」 んー、って 何だそれは 最近ますますの訳の分からなさが強まっている ここ最近 あまり突っかかって来ないというか しおらしいというか でも他の奴らとは普通に会話してるんだよな… 「俺…お前に何かしたっけ」 「……それはまた…何故に?」 「最近 変だから」 「気のせいじゃない?」 この前 が未来に帰ると嘘を吐いた時に言った言葉を思い出した 「ハンッ、女心でも勉強して出直してきな!」 ……何処で勉強すりゃいいんだよ 「まぁ…俺の顔が見たくなきゃ それはそれで…」 「文次郎はさぁ!」 そう叫んでが半身を起こした 「全然分かってない」 「あー…だから何がだ?主語を付けろ主語を」 「私の事を見てよ」 「…今、見てるだろうが」 「だぁ〜っそういう事じゃなくてねっ」 が頭を抱えて唸っている これが の言う女心とかいうヤツの所為なのか? 「私をさ、今も“未来から来た女”って…思ってる?いや実際未来人なんだけども」 「あー別に気にしなくなってきたな、そういや」 「…そっか、ならよかった」 やっと が笑顔になった 怒ったと思えば笑うし 女心っていうのは複雑なんだな、それは理解した 可愛いんだからそうやって笑ってりゃいいものを・・・・とは口が裂けても言えんが 「一番…未来だ何だって気にしてるのは私だけどね」 「そりゃあ 移動してきたのはだし」 「特に恋が一番厄介ね、命懸けだから」 「…何故だ?」 「離れたくないから帰れなくなる、この身滅びるを只待つのみ……ってか」 の言っている意味がよく解らないが 色恋沙汰は駄目という事か? おい それはまずい展開じゃないか・・・って俺はとどうなりたいんだ 「それでも 生まれた感情を抑える事なんて簡単には出来ないわ」 「それが恋だから…私の選んでしまった道ならば たとえ茨の道であろうとも」 「散るその瞬間まで、突き通す……これが私 がたった今決めた決意」 俺には理解しにくいような難しい話をがずっと呟いている ただ 今のその真っ直ぐな眼は 相当格好良いぞ、お前 「…そういう事で」 「あぁ」 「私は文次郎が好きなんだ」 「あぁ…………え?」 俺のお前への気持ちと お前の言う好きっていうのは 同じなのか 別物なのか 「女心って…複雑でしょ」 Next→ (08.8.9 後戻りはできない) |