「うわぁ…忍術の学校ってこんな感じなんだぁ……」 「、案内役なら他の奴に頼め」 「生徒の中で私の事情を知ってるのは君だけだし…ていうか…年上への態度?それ」 「全くもって年上という感じがしない、寧ろ年下・・・」 多分 この人は素直なんだと……思う 実際 乱世で鍛えられている人と平和ボケしている人では 明らかに心掛けから何から違う 顔にしろ何にしろ 正直私も文次郎より自分が年上とは到底思えない 私の中で 潮江文次郎年齢詐称疑惑が浮上している 「でも…ありがとね」 「何がだ」 「あのままだったら盗賊に荷物全部盗られてたよ」 「…人として当然の事をしたまでだ」 「あら、格好良いじゃない」 「ばっ馬鹿にするなっ」 その時 文次郎と同じ六年生の制服を纏った学生と目が合った 「…あ、貴方が噂の」 「うっ噂の!?」 「文次郎に拾われた異国人!」 ・・・この どう見ても日本人顔の私がどうして異国人なのよ 「伊作、俺はこんなのを拾う趣味は無い」 「そうそう私なんか…ってこんなのって言った!?」 「あと この女は日本人だ」 なぁんだ、なんて言いながら 伊作君とやらが私の顔をまじまじと見つめる そんなに見つめられると 少しばかり照れます 「お前それ、山本シナ先生あたりに頼んで着物借りた方がいいな」 「やっぱりこういう服は目立つか…」 「摩訶不思議だからな…そもそも女なのに足を出し過ぎだ」 「お…親父みたいだよ文次郎」 「ップ…ックククク」 伊作君が私達を見ながら笑い始めた 「私…なんか変…?」 「今日会ったばかりでしょ?君達どうしてそんなに仲良いの」 「仲良くないって」「仲良くないだろ」 なんという事だ 不覚にもハモってしまった そしたらまた伊作君が笑い出すし…まったくもう 初 日 食堂が いつにも増して騒がしい 大方予想はつく・・・またあの女が絡んでいるんだろう 「そぉれ!お残しはゆるさなくってよ!」 やっぱりな …しかし何故あの女は食堂のおばちゃん気取りなのか おばちゃんは微笑みながらの事を見つめているが… 席に腰掛けると にやつきながらが近づいてきた 「……お前…今日くらいは部屋に篭ってろよ」 「やあ、六年い組の潮江君」 「何をそんなにはしゃいで…おまっ危ないから菜箸をこっちに向けるなっ」 「タダで居候させて頂くわけにはいかないじゃない?私だって役に立ちたい」 軽薄そうに見えて 一応真面目なんだな ただ 菜箸は振り回さないで欲しいが 「でも…さっきから色んな人に誰ですか誰ですかって尋ねられてて仕事が捗らないわ」 「異国人なんて噂が立ってるからな」 くの一教室の生徒でも先生でも無い 突然現れた女に 興味が湧くのは当然だろう 「あ、そうそうシナ先生から着物を貸していただいたの!…どうよ、似合ってる?」 「普通」 「うっわぁ」 「似合ってる、かわいい!」 隣に居た七松小平太が 突然大声を張り上げた 「ありがと、貴方はきっと出世するわ!……それに比べてこの男は…」 「…そんな目で俺を見るな!」 Next→ (08.6.7 “日本人”って概念が強まったのは明治からだっけ…まぁ、うん) |