「ここは・・・・」 気づいたら 前回トリップした場所と同じ所に私が居た この後盗賊に絡まれて困っていたら 文次郎が助けてくれたんだっけ 懐かしさに 自然と顔が綻ぶ ただ そこから見える景色が少しだけ変わっていた 遠くに三軒程ちょこんと佇んでいた民家が 無くなっていた よくよく見てみると 戦の痕が周辺に残っている 戦に巻き込まれた所為で 民家は焼けてしまったのだろうか それともこれは 民家が建つ前の状態なのか あまり 人影が無い・・・ やけに静かなのが 逆に怖い 盗賊でもいいから誰か来ないかと思う程に そもそも あれから何年前、もしくは何年後の日本なのだろうか 「…とりあえず忍術学園だ…其処に行けば……」 道はうろ覚えだが 私はとりあえず学園へ向かう事にした 希 望 暫く歩いていると 見覚えのあるうどん屋が目に入った 文次郎と一緒に来たうどん屋ではないか まだ有った、なのか 既に有った、のかは分からないが うどん屋の前でうろうろしていたら 店主のおじさんが手招きをした この時代の銭も少しは持っているし 腹が減っては戦は出来ぬ…なので うどんを戴く事にした 「おじさんって…何歳ですか?」 「お?俺はもう五十だ」 そういえば人生五十年の時代だっけ、なんて考えて 勝手にしんみりしてしまった 以前来た時は もう少しおじさんは若かったような気がする と なると・・・あれから少し未来へと私はトリップして来たのか おじさんが生きているという事は それほど年数の誤差はなさそうだ 「あっとりあえず…かけうどん一丁!」 「あいよー」 「ところで一つ訊きたいのですが…此処に忍術学園の少年少女はよく来ますか?」 「そうだねぇ」 こういう所によく来そうな忍たまを考える… 「…あぁそうだ、しんベヱくんって知ってます?」 「ああ、彼はよく来るからな!」 「しんベヱくんって今何歳…」 「六年生じゃないかな」 「ろっ…六年!?想像つかない…」 つまり 私は五年後にやって来たという訳か ・・・鳥肌が立った 明確な数字が分かった事、そして 五年の誤差しか出さなかった自分の勘の良さに、だ そうか 私は五年後に来たんだ……希望が少し残されてはいる数字だ ただ 私にとっては一ヶ月でも 彼にとっては五年の歳月が流れている 五年も経過してしまったとなると 流石に私は既に過去の人、だろうか いっそ 指輪を預けるだなんて行為 しなければよかったのかもしれない 五年も縛り続けてしまったんだ …それとも もう指輪なんて文次郎は持っていないのかな 「はいよ、かけうどん」 「あっありがとうございます」 うどんを啜りながら なおも思考を巡らせる もし文次郎と再会出来たとしても 私の存在が受け入れられなかったら どうしよう それが 一番怖いんだ 私はもう飴玉を持っていないから 現代には戻れない 覚悟を決めて 現代を捨てたんだ ・・・受け入れられなかったら 一人でも生きていくって決めたじゃない 「……もしかして…さん……ですよ…ね…?」 「・・・えっ?」 自分の名前が耳に飛び込んできて 振り返る そこには昔の面影が少し残っている 会計委員のメンバーだった団蔵くんが立っていた 「だっ団蔵くんだよね!?ど…どうして此処に…」 「乱太郎きり丸しんべヱを捜してたんですが……す…凄い人を見つけてしまった…」 「凄い人って……私?」 「そうですよ!急に居なくなっちゃうし……しかし見た目が五年前と全く変わっていませんね」 そうだ… 未来から来た事を知っているのは三人しか居なかったんだっけ 「ねぇ、文次郎って何処に居るか…」 「潮江先輩?住処は知りませんが 時々学園に来ますよ」 「・・・本当!?」 「不定期ですけどね」 「…充分すぎる情報だわ……団蔵くん、三人組を見つけてからでいいから私を学園に連れてって!」 Next→ (08.9.21 乱きりしんは多分お散歩にでも…) |