目を覚ますと カーテンによって陽を遮られた薄暗い部屋がそこに広がっている
そう いつもの光景

カーテンを開いてテレビをつけると 明るい声が部屋に響く

また今日も 適当に勉強して 適当にご飯買ってきて 黙ってただ過ごす
平日の昼間が一番退屈だ




目を覚ますと 畳の心地よい匂いを思いきり吸い込んだ
そうだ… 私は今 非日常の生活をしているんだ

持ってきた鞄の中から時計を取り出すと 針は8時を指している
まぁこの世界では 陽が昇れば朝だし 陽が暮れれば夜だ

それでいい、いや それがいいんだ






ふらふらと学園内を歩いていると 誰と一緒に居るというわけでもないのに何だか楽しい
此処に居ると 忘れかけていた何かを取り戻したような、そんな感じがする


「…あのー」
「っひゃぁ!?」

背後からいきなり声を掛けられ 思わず声をあげてしまった
この人は誰だろう・・・事務?事務員って事かな


「貴方が昨日来たという謎の…?」
「謎って……あっ私はと申します、どうも」
さん、昨日上手くかわされてしまったようなので…これを」

彼から差し出された 筆と・・・

「昨日のぶんです、入門表にサインしてくださぁい」
「……えぇ…?」

この時代に あまり私の名前を残すのは乗り気にはなれないが

「さぁさぁ!此処に名前を!」

・・・この人から逃げられる気がしないわ
名前だけなら別にまずい事は無いし、いいか


「わっ…分かりました書きますから落ち着いてくださいっ」





日 常





先程の事務の小松田さんから箒を借りて掃除をしていると 見慣れた色の制服が目に入った


「あれ、事務員になったんですか」

文次郎と同室のサラサラヘアーのあの人だ

「いえいえ、ただ何かお手伝いをしようと思って」
「そっか 御苦労様」

そう言って彼はふっと微笑み 去って行った
今の私を表す単語はまさに「キュン」だ


「なんと…なんと爽やかな御方」
「あんまり見た目に惑わされるなよ…」
「ギャッ出たっ!」

あの人を見た後に文次郎を見ると こう・・・なんというんだろう・・・

「あんた…暑苦しい感じだよね」
「お前は本当に失礼な女だな」


「それはそうと」
「それはそうとって…」
「あの人の名前は何と仰るんでしょう」
「立花仙蔵」
「まぁ・・・名は体を表すって感じのお名前・・・うふふふっ」
「気色悪いぞ、


そういえば 皆はこれから何処へ行くんだろう
他の学年はだいたい校舎の中で授業を受けているのに


「小松田さぁーん」

向こうの方に居た小松田さんを呼ぶ

「なんでしょう」
「6年生って何処に行くんですか?」
「実戦訓練じゃないかな」
「ほぉ……それは実際の戦に行くって事ですか」
「そうそう」


随分本格的な事をするものなんだと 少し驚いた

戦なんて未来から来た私には漠然とした印象である


「なんだか怖いですね」
「まぁ危険だけど…でも戦があるのは仕方ないから」
「……そう…ですよね…」




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(08.6.16 考え方の違い)