訓練が終わり学園に戻ると が野良猫と戯れていた
あいつは本当に年上なのか 甚だ疑問だ

そんな事を考えていたら はようやく俺達六年生の存在に気づいた


「あっお帰り〜!誰も欠けてない?大丈夫?」
「訓練で死ぬかよ…」
「でも戦なんだから分からないじゃない、それは」
「それはそうだけど」
「うん…よかった……」


訓練なんてしょっちゅう行っているせいで すっかり慣れてしまったが・・・
全員が無事に戻って来た時に ほっとしてくれるような奴  久々に見た


抱いていた野良猫を解放し は俺達の方に近づいた が、一瞬顔をしかめた


「…何だ?」
「いや……ゆっくり…休んでね」

そう言うと 足早に校舎の方へと行ってしまった





「…さんって何処かの城の姫だったりするのか?」

仙蔵がつぶやいた それは俺に尋ねているのか

「あれが姫な筈が無いだろう」
「でも戦に関しての免疫が無さすぎない?」

そういえば戦というものに対して 疎かったような
ただ間違いなく姫ではない この時代の人間ではないだけで


「今の私達に染みついている この火薬や血生臭さ…戦の臭いに顔をしかめていた」
「あぁ・・・それで」

それでさっさと向こうへ行ってしまったわけか

これが此処での普通、なのに





覚 悟





「はぁ……っ…」


此処での現実、日常を 感じた

私には合戦とかよくわからない けれど

この時代に居るという事は 私もこの現実を受け入れなければならない



「覚悟が無いならタイムトラベルなんか…してんじゃねぇよ……」

一瞬 皆の事が怖くなったんだ そんな自分に嫌気がさす




そもそも忍者っていうのは そういうものなんだ
・・・心の中で 必死にこの時代に順応しようという私がいる

如何して私がこんなに必死なのか よく解らない
やっと居場所を見つけたから なんだろうか







井戸へと向かい 水を汲んで顔を洗った
少しすっきりしたような ・・・そんなお手軽な私



「やっぱりは未来人、ってやつなんだな」

背後からの声に慌てて振り向く


「あぁ……文次郎か…」
「お前、どうしてこの時代に来た」
「……最初は…ただ興味が…」
「未来がどうなってるか知らんが、生半可な気持ちで来るような所じゃない」

そんな事は 分かっている

「来たばかりなんだから慣れないのは当たり前でしょ!?」
「最初から盗賊に襲われかけてるしよ…」
「あっあれは…ちょっと思考回路が停止しちゃって」
「へらへらしてんなよ・・・そんなんなら、帰れ」


やっぱり  帰れって言われると思ったよ

・・・一番聞きたくなかったのに 表情一つ変えずに簡単に言うんだから



「…ああそうね、私が居ると足手纏いで迷惑ですよね」
「……そうだな」


文次郎の右頬に平手を一発入れてやってから 無我夢中で走った




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(08.6.20 バチィンッ)