なんて清々しい朝なのでしょう

時刻は午前五時半・・・些か早く起きすぎてしまいましたが

清々しすぎて丁寧な言葉使いを心掛けたくなるような 陽気です



窓から顔を出し 朝日に照らされた山々を眺めるのです

心が洗われるような美しい朝日の煌めきを私は今 この眼で見ている


思わず歌いたくなってしまうような、そんな気持ちになるのです



「らぁ〜ら〜らら〜〜…」


「おい…五月蝿いぞ」

「あっすいません……って誰!?何処から!?」
「上を見ろ、上だ」


窓から身を乗り出して見上げると 朝だというのに暑苦しい表情をしている潮江さんが立っていました
つまり この建物の屋根の上に居るという事です

「あらあら…潮江さんは何故こんな早朝から…?」
「何だその口調は 気色悪い……俺は夜の鍛錬だ!」
「…もう朝ですが」
「朝になってしまったのだ!」

この男に呆れて 丁寧な言葉使いをする気力が失せた

「あーつまり、完徹ってワケね…」
「かんてつ?」
「完全徹夜って事  ところで隈凄いよ、アンタ…いつもの事だけど」

「ところで俺からも一言言わせてもらうと」
「なに?」

「その南蛮…いや 未来の格好は…やめた方がいい、ぞ」


私はホテルで浴衣を着て寝ると 朝 必ず肌蹴て下着姿になっているタイプだ
なので此処でも寝る時は 一人暮らしの時と同じスタイルで寝る事にしている
キャミソールにホットパンツが私の寝巻きスタイルだ


「健康的でいいじゃない」
「みだりに肌を露わにするな」

そういえば私達の世界では 暑くなれば女子の露出度も増す
だが この時代では・・・

「……もしかして 出し過ぎ?」
「もしかしなくても」
「……やんっ!やらしい目で見ちゃって」
「………………」


・・・うわー 怒ってる怒ってる

あっ どっか行っちゃったよあの人  つまんないわね





興 味





やけに疲れた……あの女はやはり俺達とは波長が違う

そもそもあの出で立ちは何だ どうぞ襲ってくださいと言わんばかりの…


「はぁ・・・・」

こうして学食を食べているのに 食べた気がしないのは何故か
そろそろ沢山睡眠を取るべきか


「文次郎」
「なんだ、仙蔵」
さんの事だが」
「……あぁー…またあいつか」
「私も聞いたんだ、未来から来た話を」

芋に箸をのばしていた自分の手が 止まった

「彼女の着物を一緒に買いに行った時に 私が訊いた」
「そうか・・・・嘘みたいだが 本当なんだよな」
「早くその芋、食べれば?」
「…今から食べようと思ってたんだよ」


自分の事は書物には書くな、とか散々言ってたわりには 口が軽いのか
訊かれたくらいで簡単に答えるような そんな程度の事なのか?


「ところで何故 私を含めた他の誰かではなく 文次郎がさんを見つけたんだろう?」
「あの日 他の奴は知らんが…お前確か風呂に早く入りたいとか言って さっさと戻っただろ」
「そういえばそうだった……チッ…私の所為か」

何が私の所為、なんだ


さんは 彼女の時代で既に婚姻してると思うか?」

今日の仙蔵は 何故かよく喋る
目の前にあと二つ残っている芋を 食べさせる暇を与えない気か?

「一人で暮らしてるとは言ってたが」
「…何でお前が其処まで知ってるんだ」
が言ってたから」
「そもそもさんはああ見えても年上なのに 馴れ馴れしいぞ文次郎」

ああ見えても、って何気に失礼だな

「年上とは思えないだろ?だいたい、あっちの方が馴れ馴れしい」
「早く残りの芋、食べれば?」
「お前が疑問符付けて喋ってくるから食えないんだろうが!」


ようやく仙蔵が黙ったので 芋を全て口の中に入れた



「…彼女には興味が有るな」

「・・・・まぁ不可思議だしな、未来が云々過去が云々」
「それもそうだが、おなご…としての興味?」
「……ブッ」
「汚っ!芋の欠片を飛ばすな!」

立花仙蔵、涼しい顔をして なんて変わった男なんだ



「あっおばちゃん!おはようございまーす」
「おはよう、ちゃん」

…噂をすればなんとやら、ってやつだ


「本当、面白い人だ」
「巻き込まれる方はちっとも面白くないと思うが…」
「守ってあげたくなるような、そんな雰囲気」
「・・・まぁ、危なっかしいからな」




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(08.7.4 青少年よ、惑え)